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膝関節の怪我・障害

変形性膝関節症について

1.変形性膝関節症の症状

男女比は1:4で女性に多く見られ、高齢者になるほど罹患率は高くなります。

主な症状は、膝の痛みと膝関節内に水が溜まることです。

正常な膝関節では、約4°程度、下腿部(すね)が外側に向いていますが、

変形を来してくると、いわゆるO脚(膝関節の内側が狭くなり痛みが出る)、

X脚(膝関節の外側が狭くなり痛みが出る)になってきます。

初期では立ち上がり、歩き始めなど動作の開始時のみに痛みがあり、休めば

痛みは無くなりますが、正座や階段の昇降が困難となり(中期)、末期になると

安静時にも痛みがあり、変形が目立ち、膝がピンと伸びずに歩行が困難になります。

2.病態について

原因は、関節軟骨の老化によることが多く、肥満や遺伝的な素因も関与しています。

また骨折や靭帯損傷、半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染症の

後遺症として発症することもあります。

加齢によるものでは、関節軟骨が年齢と共に弾力性を失い、使いすぎによりすり減って

関節が変形します。

軟骨自体には痛みを感じる神経はありませんが、変形により軟骨がすり減って骨どうしが

直接ぶつかるようになると、痛みが出現します。

正常な膝関節と変形性膝関節症

変形性膝関節症の進行度分類 1)

  • グレード0:正常
  • グレードⅠ:骨棘の可能性、関節裂隙狭小化の疑い
  • グレードⅡ:明確な骨棘、関節裂隙狭小化の可能性
  • グレードⅢ:中等度で複数の骨棘、明確な関節裂隙狭小化、骨硬化、骨端部変形の可能性
  • グレードⅣ:大きな骨棘、著明な関節裂隙狭小化、高度の骨硬化、明確な骨端部変形

3.変形性膝関節症の治療について

治療は大きく手術療法と保存的治療に分けられます。

当院では、手術療法として、「脛骨高位骨切り術(DTO)」、「人工膝関節置換術(TKA)」、

遠位大腿骨骨切り術(DFO)」などを主に行っております。

患者様のニーズ、病態、痛みの程度、日常生活上の支障レベルに応じて、

もっとも適切な治療方針を決定させて頂いております。

※今回は、保存的治療方法について解説いたします。

変形性膝関節症では、大腿四頭筋(太もも前面の大きな筋肉)の萎縮や筋力低下

が認められ、その影響で歩行時の膝関節の動的な安定性が得られず、

痛みや機能障害が生じます。

変形の進行や痛みの増強を予防するためにも、以下にご紹介した運動を行うことを

お勧めします。

膝の下に、丸めたタオルを敷き、膝裏でゆっくりそのタオルを押しつぶします。

その時に太ももに力が入りますのでその状態で5~7秒間止めます。

休憩を入れながら20回ほど行います。

※腰に負担がかからないように反対の膝は立てておきます。

うつ伏せになって膝を伸ばす練習です。

変形した膝関節は伸びにくくなっていますので、

自重で自然と膝を伸ばすことができます。1回につき5~10分間行います。

膝のお皿が痛い時は、柔らかめのタオルなどをお皿の所に敷きます。

膝の裏側に両手を添えて、膝の曲げ伸ばし運動を行います。

運動に慣れてきたら、タオルを使ってより深く曲げるようにします。

96セッティング練習

股関節を90°(直角)、膝関節を60°に曲げた位置で、5~7秒間止めます。

太もも、ふとももの裏側、股関節の筋肉に力が入り、より効果的に膝の筋力

を強化できます。

※その他、水中歩行(プール運動:当院には室内プール有り)やエアロバイク

(室内自転車)運動などを行い、体重をできるだけ減らしていくことも、膝の痛み

の軽減、変形の進行の防止に効果的です。

当院では、食事でのカロリーコントロールと運動療法を合わせた効果的な

ダイエットメニューを取り入れています。

4.足挿板(インソール)作成  →外側ウエッジ作成

変形性膝関節症の特徴的な歩行として、悪い方の足に体重をかけた時に、

膝関節が外側にスライドするように動揺する現象があります。

これをラテラル・スラスト(外側動揺性)といい、歩行時の急激な内反角度

(いわゆるO脚方向)の増大と膝の不安定性が出現し、膝関節における

衝撃吸収能力の低下、膝外側構成体への過大な伸張ストレスがかかり、

変形性膝関節症の主要な悪化因子となります。

膝関節の「ラテラル・スラスト(外側動揺現象)」  

そこで、外側楔状足挿板(外側ウェッジ・インソール)を靴底に挿入することで、

ラテラル・スラストを減少させ、変形性膝関節症の進行を軽減させるといわれています。

※当院では、徳田義肢装具製作所に採型・作成を依頼し、ご本人に合ったインソール

を制作しています。

おわりに

今回は変形性膝関節症の病態と保存的治療方法についてご紹介させて頂きました。

次回は、手術的治療についてもご紹介していく予定です。